戦後75年 平和の尊さを次世代へ伝える 平和への誓い

発行:No.334 令和2年10月10日発行(20)

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戦後75年 平和の尊さを次世代へ伝える 平和への誓い

 今年度の能代市戦没者追悼式・平和祈念式典は新型コロナウイルス感染症対策のため中
止となりました。式典で発表予定であった能代東中学校 坂本耀さんの「平和への誓い」
の作文を掲載します。平和の尊さを次の世代へ伝えていくため、皆さんも平和について考
えてみませんか。

 「平和ってどういうこと?」とたずねられたら、皆さんは何と答えますか。僕の頭に浮
かんだ平和とは、朝に目が覚めたら「おはよう」、ご飯を食べるときに「いただきます」、
ご飯を食べ終わったら「ごちそうさま」、夜寝る前に「おやすみなさい」、これを毎日続
けられることだと思います。僕がこのように考えるようになったのは、小学生の頃、
「ちぃちゃんのかげおくり」という物語に出会ったことがきっかけでした。この物語には、
太平洋戦争末期を舞台にした悲惨な戦争の実情が印象的に描かれています。戦争の実体験
がない僕は、この物語を読んで、初めて戦争がどんなに残酷で怖いものなのかを感じたよ
うに思います。
 皆さんは、2014年に17歳でノーベル平和賞を受賞したマララ・ユスフザイさんという少
女を知っていますか。彼女は、パキスタンで、武装勢力「タリバン」の人権侵害を批判す
る活動をしていました。そして、15歳の時、下校途中に銃撃されますが、奇跡的に一命を
取りとめ、その後も精力的な活動を続けたのです。僕は、そのマララさんが銃撃された翌
年にニューヨークの国連本部で行った「エデュケーションファースト」という演説をイン
ターネットで見つけました。「一人の子ども、一人の教師、一冊の本、一本のペンが世界
を変えることができる。」と主張しているところが、とても印象に残りました。偏見や差
別のない平等な社会で、すべての人が平等に教育を受けるべきであり、武器ではなく教育
が世界を救うのだというマララさんの考えは、すばらしいと思いました。そして、彼女の
勇気ある行動に感動しました。
 このように、戦争を経験したことがない僕たちでも、インターネットで調べたり、本を
読んだりして、戦争について知ることができます。また、戦争を知っている方から話を聞
いたり、戦争に関する資料館などを訪れることもあるでしょう。そこから戦争について学
び、戦争の悲惨さや恐ろしさ、平和の尊さについて、次の世代に伝えていくことができる
と思うのです。
 また、マララさんのように、自分の考えをしっかりと持つことも大切だと思います。そ
して、自分と違う意見にも耳を傾け、お互いに認め合いながら話し合うことができれば、
自分の視野を広げ、さらによりよい考えを生み出すことができるのではないでしょうか。
 紛争や内戦の起きている国は、今でも世界のどこかにあります。そして僕たちは今、コ
ロナウイルスという平和を脅かす新たな問題に直面しています。
 能代東中学校の卒業生で、台湾の大学に留学した先輩がいます。世界中でコロナウイル
スによる感染症が蔓延し、異国で大変な思いをしているのではないかと心配しました。で
すが、台湾では、17年前に流行したサーズで多くの感染者が出たことから、その後、国民
の防疫意識が高まり、当時の反省を生かした対策が実施され、感染者が少なかったとのこ
と。この話を聞いたとき、台湾の人々の過去に学ぶ姿勢が、コロナウイルスから多くの
人々を救っているように感じました。その先輩は、この夏無事に留学生活を終えることが
できたそうです。
 今回、僕は、平和について考える機会をいただいたことに感謝しています。家族や友だ
ちと一緒に安心して生活している日常が、どんなにありがたいことなのか、あらためて実
感することができました。
 今を生きる僕たちが平和のためにできること、それは過去から平和の尊さを学び、次の
世代に伝えること、自分の考えをしっかりと持ち、お互いの意見を尊重しながら、未来
を切り開いていくことだと考えます。そして、いつものように家族や友だちとあいさつが
できる平和な日常への感謝の気持ちを忘れません。この3つのことを意識して生活するこ
と、これが、平和な世の中に貢献するための僕の「平和への誓い」です。


No.334 令和2年10月10日発行(20)
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