ドクガ(毒蛾)について

 春から秋にかけて大量発生する毛虫といえば「アメシロ」ことアメリカシロヒトリが有名ですが、最近では「ドクガ」の発生も確認されています。
 ドクガには毒針毛があり、これが皮膚につくとかゆみや炎症をおこすので、注意が必要です。

 

幼 虫

ツツジを食害する幼虫

成 虫


●ドクガとは
 日本各地に分布し、体表に毒のある毛(毒針毛)を持っています。植物の食害だけでなく、人体にも被害を与える蛾として知られています。
 幼虫は、5月~6月頃に見られ、体色は黒く、背や側面にオレンジ色の班紋があります。サクラ・ウメ・ツツジのほか、多くの植物を食害します。
 成虫は6月~8月頃に現れ、黄褐色で20~30ミリメートル程度の大きさになります。エサとなる葉の裏側に卵を産み付け、秋にふ化します。ふ化した幼虫は、小さいまま落ち葉の下などで越冬します。

●毒針毛(どくしんもう)について
 ドクガ(卵~成虫)は、毒針毛を持っています。毒針毛は0.1ミリメートルほどの微細な毒針で、幼虫の体表にある長い毛とは違います。
 毒針毛が皮膚に触れると、赤くなり、強いかゆみをおこします。ドクガに直接触れなくても、風に飛ばされた毒針毛で皮膚炎をおこすこともあります。※症状のあらわれ方や程度には個人差があります。

●毒針毛が身体についたら
 皮膚の表面についた毒針毛は、掻きむしったりすると皮膚に深く刺さり、かゆさが増していきます。
 セロハンテープなどで触れた周辺をそっと押さえて毒針毛を取り除き、その後流水で洗い落とすようにしましょう。
 症状がひどいときは、医療機関(皮膚科)を受診してください。

●防除方法
 成虫の大量発生後は防除が難しくなるため、できるだけ幼虫が小さいうちに発見し、対処することが重要です。
 防除作業の時は、帽子・長袖・長ズボン・ゴム手袋・マスク・ゴーグルなど、肌をできるだけ露出しない服装で行ってください。
 ※毒針毛がついた衣類は、ほかの洗濯物とはいっしょに洗わないでください。毒針毛は熱に弱いので、50度のお湯で洗うか、洗濯後乾かしてからスチームアイロンをかけてください。

<幼虫>
 若齢のうちは幼虫が一箇所に固まっていることが多いので、この時期(春先や秋)に葉を調べて、駆除を行うのが一番効果的です。幼虫を長箸でつまみ取るか、葉ごと切り落として処分してください。
 幼虫がある程度成長して樹木全体に拡散してしまった場合は、薬剤を散布する必要があります。
 薬剤は、ホームセンターや園芸店などで販売されている、園芸用殺虫剤の使用をおすすめします。

<成虫>
 成虫が家の中に入ってきた場合は、とまったところを濡らした新聞紙等で押しつぶしてください。
 追い回したり殺虫剤をかけたりすると、暴れて毒針毛をまき散らす可能性があります。

・・・・・防除後の死がいの処理について・・・・・
ドクガの死がいにも毒針毛は残っているので、風に毒針毛がとばされて被害がでることがあります。防除後の死がいは放置しないで、きちんと処理をしましょう。(熱湯をかける、または水と洗剤の入ったバケツに入れて、死亡させたあと土に埋める等)
ドクガやドクガの幼虫がついた葉をゴミに出す場合は、ポリエチレン袋等に入れて口を縛り、中で死んだことを確認してから、袋ごと燃えるゴミ袋に入れて出してください。