のしろ逍遙(しょうよう)

発行:No.1067 平成17年2月24日発行(20)

のしろ逍遙(しょうよう)
歴史と民俗のあいだ(64)

馬の絵(三) 「砂子田・八幡神社(一)」

 砂子田の八幡神社にあるもので、前回の絵馬とそっくりです。こちらは明治三十年の奉納で若干早いようです。年代的に近いこと、図柄が同じであることから、同じ絵師が描いたものでしょう。こちらは彩色(さいしき)であること、額縁(がくぶち)の細工(さいく)が丁寧であることなどからすると、より力が入っていたかもしれません。奉納者は岩尾堅司とあります。岩尾氏は江戸時代には大性院(だいせいいん)と称した修験者(しゅげんじゃ)で、常盤村一帯の神社の神主(かんぬし)を務めていました。その岩尾氏が奉納していますから、この神社への思い入れも相当強いものがあったのでしょう。常盤村は神道(しんとう)の影響が強い地域ですから、岩尾氏の存在は大きかったのかもしれません。この絵馬の御者(ぎょしゃ)は立烏帽子(たてえぼし)をかぶり、狩衣(かりぎぬ)に小袴(こばかま)をはいていますから、神官の姿に見えます。あるいは自分の姿を写したのでしょうか。馬には飾り気のある轡(くつわ)をはめ、立て髪を結い分け、背中に白布をかぶせて、その上に紙垂(しで)を掛けている奉納馬の姿です。
 額縁は周囲を雲形に刻み込み、画面よりややせり出すようにつけています。画面が奥まって見え、それがこの絵馬の気品を表しているようです。額の全体に神に祈る敬虔(けいけん)な気持ちが満ちているようです。(古内)

No.1067 平成17年2月24日発行(20)

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