ふるさと紹介(246)

発行:No.1068 平成17年3月10日発行(8)

ふるさと紹介(246)

市内のバス事情
 自家用車の普及により、特に地方都市ではバスを利用する人が年々、減少しています。しかし、「バスがなくなれば困る」という人も少なからずいるのも事実。
 今回は、市内のバス事情について取材をしました。
市民リポーター 本間英子 近藤智子

リニューアルした市街地巡回
バス「はまなす号」
 すでにご存じの方も多いと思いますが、2月から「はまなす号」の車両が新しくなりました。
 車両デザインが一新されたほか、お客さんの要望を調査し、乗降口のステップと床の段差を低くし、高齢者や子どもが乗りやすい環境にしました。さらに、これまで両側2列だった座席が2列と1列に変わりました。最近では降車ブザーを押しやすい位置に変更しました。

はまなす号とは
 「はまなす号」は、2回の試験運行を経て、15年6月から本運行が始まりました。
 このバスは次の目的により運行されています。
(1)公共施設への足の確保
(2)商店街への足の確保
(3)交通弱者のための交通手段
(4)幹線道路中心の路線バスではカバー できない生活路線への運行

 バスは1日8回、1周14・6キロのコースを1時間で回ります。各停留所へは、毎時間、同じ「分」にバスが来ます。例えば、文化会館前は9時16分、10時16分、11時16分という具合に、利用者にとってわかりやすい時刻体系になっています。料金は1回150円で、定額制となっています。降りる時に150円を払えばいいだけです。しかし、運賃収入だけで運行費をまかなうことはできません。足りない分は、市が運行費を出しています。

乗車をして
 百聞は一見にしかず。見ると聞くでは大違いといいます。これまで1回も乗ったことのないわたしたちは、路線図を眺めるだけでは感覚がわからないということで、さっそく乗車してみました。
 この日は雪が降っていました。乗客は10人前後で降りる人がいれば乗ってくる人もいて、お客さんがとぎれることはありませんでした。
 乗る人が多い停留所はだいたい決まっていて、柳町プラザ都前や大瀬団地前、バスステーションといった停留所です。バスは小型な分、小回りが利くので比較的、幅の狭い道にも入っていきます。運転手さんは乗る人、降りる人に声をかけて応対してくれますし、お客さんが席につくまで発車しないなど親切で丁寧な運転をしてくれます。お客さんからの評判もとても良いのだそうです。
 運行コースは、市内の公共施設や病院、商店街などの前に停まって大変便利です。実際、乗車してみて、利用の仕方によってはかなり「使えるバス」です。みなさんも一度、乗ってみませんか?

路線バスのこと
 路線バスの現状について秋北バスの営業所を訪ねました。
 今、この地域を走る路線バスは10路線。お客さんの減少により路線数も減っています。10年前は100人ぐらいいた運転手も今は54人になっています。
 お客さんが減少した主な原因は、自家用車の普及、少子化で学生の利用が減ったこと、中心市街地の求心力の低下などで、生活するうえでバスを乗る必要性がなくなったことが挙げられます。お客さんが減ると、バス会社の経営に響きます。バス会社でも採算が採れない路線を廃止したり、便数を減らします。それが利用者には不便となって、お客さんは減るという悪循環が続きます。会社でも、相当の経営努力をしていますが、お客さんの減少は止まりません。路線バスについては、運賃収入以外にも、行政からの補助もあるもののなかなか採算が採れないのが現状のようです。
 しかし、今でも、バスがなくなれば、買い物や通院、通学ができなくなるという人もいます。現在でも、朝のステーション発〜組合病院行きのバスには、多くの利用者がいます。組合病院行きのバスには周辺町村からも路線バスを乗り継いで病院通いするお客さんもいます。通学で小学生が利用する場合も多く、市内の小学校からの乗車指導の要請があれば、快く応じています。地域やお客さんを大切にしていきたいと秋北バスでは考えてます。

好調な高速バス
 今、一番元気なバスは、高速バスです。能代〜池袋間の高速バスは、便利さや運賃の安さで、安定した利用者数になっています。お盆や年末年始の帰省時期には増便運行も行うほどです。
 能代〜秋田間の高速バスは、1日8便の運行数で、大人片道900円。約70分運行開始3年になり、利用者に浸透してきたせいか、順調に乗車数が増えています。特に土日の利用者が多く、状況によっては、増便することもあります。
 高速バスは、大きな収入源となっています。

取材を終えて
 バス会社、特に地方のバス会社は、利用者の減少により、全国的に大変苦戦を強いられています。
 今は自家用車でも、この先、年をとって運転ができなくなったとき、バスなどの公共の乗り物に頼るかもしれません。将来、自分の子どもが通学で、公共の乗り物を利用するかもしれません。そんなとき、バスがなくなったらどうしましょう。
 地域のバスって、実はだれにとっても身近な問題なのではないでしょうか。 

No.1068 平成17年3月10日発行(8)

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