のしろ逍遙(しょうよう)

発行:No.1069 平成17年3月24日発行(24)

のしろ逍遙(しょうよう)
歴史と民俗のあいだ(66)

馬の絵(五)「轟・神明社(一)」

 轟の神明社にある絵馬です。大正四年十二月に朴瀬の人が奉納したものです。この神明社は、太神宮(たいじんぐう)とも称されますが、本殿の脇に相染様を祀っています。神社の境内には石造りの馬が一頭立っています。ここでは平成六年まで(そうぜんこう)相染講がつづけられていました。大正四年に馬頭講(ばとうこう)として始まり、十五人くらいの講員がいましたが、戦後は積立をしながら二泊三日くらいの旅行もおこなっていました。平成になってから次第に講員も少なくなり、御神体を神明社内に移して閉講(へいこう)としています。
 左の絵馬は、親子馬の絵です。上手とはいえませんが、親馬に添う子馬の足取りは、親子の愛情を表現しているのでしょう。これは今まで見てきたような神に奉納する神馬(しんめ)ではなく、馬産の成功を祈る絵馬でしょう。東雲台地は放牧地として好適な条件を具備(ぐび)していました。最近の研究で、黒ぼく土の分布と放牧地の分布が一致していることが確認されています。そこには稲・粟・麦のほか、ススキ・ヨシなどのイネ科の植物が多く生育し、樹木などよりは芝草の繁茂が見られるということです。東雲台地はまさにその条件を備えていたわけで、馬が草を食(は)む広々とした草原でした。(古内)

No.1069 平成17年3月24日発行(24)

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