埋蔵文化財(遺跡)緊急発掘調査

発行:No.1071 平成17年4月28日発行(11)

埋蔵文化財(遺跡)緊急発掘調査
向能代小学校周辺 下大野(2)遺跡

16年度の発掘調査から
 市教育委員会は、昨年度開発行為に伴い、3カ所で埋蔵文化財(遺跡)緊急発掘調査を実施しました。3回にわたり、調査結果の概要をお知らせします。

シリーズ(2) 下大野(2)遺跡
 下大野(2)遺跡は東雲台地の南西側の縁、向能代小学校のそばにある中堤から緑ケ丘方向に向かい、坂を上った台地の上にあります。
 この遺跡は平安時代の遺跡として知られていましたが、民間業者による工場跡地の宅地開発によって遺跡が壊される534平方メートルについて、5月に緊急発掘調査を行いました。

たくさんの遺構を確認
 調査の結果、地面に穴を掘って直接柱を立てた掘立柱(ほったてばしら)建物跡が2棟、地面に掘った穴の跡が16基、火をたいた跡が2カ所、そのほか溝や柱列、柱穴(はしらあな)などの遺構を確認しました。
 掘立柱建物跡は、1棟は7.9×4.8メートルの大きさで、直径が30センチ前後、深さが35センチ前後の柱穴8基が四角く並んでいました。もう1棟は5.4×5.4メートルの大きさで、直径40〜56センチ、深さが20〜34センチとひとまわり大きな柱穴6基がやはり四角く並んでいました。これら2棟の建物は倉庫や作業場としての利用が考えられ、柱穴から出土した焼物より、今から1100年ほど前の平安時代のものと考えられます。ただし、この2棟は屋根の張り出しを考えると同時に建っていたとは考えられませんので、多少の時間幅はあると思われます。
 今回の調査範囲では確認されませんでしたが、過去に隣接地を調査をした際には当時の竪穴住居跡が2軒確認されています。調査面積が狭いため断言はできませんが、当時下大野にあった平安のムラでは、住まいがある場所と倉庫または作業場のある場所とが区別されていたと考えられます。また、漁網に使った焼物の錘(おもり)が見つかっていますので、漁労も当時盛んに行われていたものと思われます。

共有の財産である遺跡を大切に
 遺跡はわたしたち共有の財産であり、地域の歴史と文化に根ざした文化財です。文化財を保存・活用し、国民の文化的向上に資するための「文化財保護法」などの法令により、遺跡内を開発するときに必要な手続きが定められています。そこでは、開発により国民的な文化財である遺跡が壊されるため、やむを得ず発掘調査をして記録に残す場合には、その費用は開発する側で負担するよう求めています。発掘調査は、時間的にも費用的にも負担が大きくなりますので、事前に開発予定地内の遺跡の有無について確認をお願いします。遺跡の位置や手続きなど詳しいことは教育委員会に問い合わせください。
問合せ 文化係 電話89―2953

No.1071 平成17年4月28日発行(11)

この記事の掲載された紙面のPDFファイルダウンロードはこちらからダウンロードできます。
紙面の確認や印刷するにはPDFファイルの方が適しています。


広報TOPページへもどる