のしろ逍遙(しょうよう)

発行:No.1072 平成17年5月12日発行(20)

のしろ逍遙(しょうよう)
歴史と民俗のあいだ(69)

馬の絵(八)「相染森・放馬」

 河戸川村の支郷相染森(そうぜんもり)には、古くから相染神社があり、現在に続いています。能代から金光寺に行く大間越街道の脇の小高い丘の上にあります。その西方に隠れるように相染森の部落があります。相染は蒼前(そうぜん)とも書き、馬の守護神です。相染森の北方に展開する台地上は馬の放牧地でした。現在の船沢温泉の西方になりますが、黒ボク土の展開する草原地帯で、放牧には好適の場所でした。夕方農作業が終わると馬を放しに行き、朝連れてきます。それは子どもの仕事でした。冬に子どもたちはスキー場として遊びました。相染森の南部に広がる田んぼは、柏子所・大内田・河戸川・浅内の村々の耕地ですから、農耕馬の守護神が必要でした。それが相染神社を勧請(かんじょう)させたのでしょうが、古代学者の新野先生は古い時代に北方からもたらされたものと考えています。
 馬が使われていたころ、五月五日の節句には近隣の村々から馬を連れて祈願に来る人が絶えなかったといいます。堂内の壁面には絵馬がたくさん張られています。奉納者は相染森に限らず、浅内・河戸川などの人たちで、中には能代の人もおります。馬車屋さんでしょうか。馬と人のつながりを語る神社です。(古内龍夫)

No.1072 平成17年5月12日発行(20)

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