進んでいます!! 子どもを守る地域の取り組み

発行:No.1082 平成17年10月13日発行(2)

進んでいます!! 子どもを守る地域の取り組み
地域やPTAがパトロール隊を組織して活動

 近年、全国各地で不審者による子どもたちの被害が報じられています。市内でも、不審者の情報はたびたびあり、大きな被害こそ報告されてはいませんが、心配な状況にあります。
 そこで、市内でも各機関・団体の取り組みや住民の自主的な取り組みで、さまざまな対策がなされています。すでに、向能代小学区、渟一小学区、第四小学区、能代東中学区、最近では渟二小・渟三小学区の中川原地区で具体的な取り組みが始まっています。ここではいち早く、地域やPTAがパトロール隊を組織して活動している、向能代小学区の様子について詳しくご紹介します。ぜひ参考にしていただきたいと思います。

パトロール隊結成!!
 15年4月、向ヶ丘自治会の住民が来校し、新しく作られた『向ヶ丘連合子ども育成会』の活動計画や、学校への要望について説明がありました。
 その中には、「パトロール隊による事故防止、犯罪防止活動」があり、学校の要請に応じていつでも出動するということでした。
 パトロール隊は自治会の全世帯が対象ですが、パトロール隊世話人として17名が挙げられていました。
 向能代小学区では15年に、下校途中の児童が向ケ丘の踏切付近の路上で、不審な男性に口をふさがれるという被害がありました。幸い、通りかかったタクシー運転手さんの機転で難を逃れました。その後、児童の安全確保のために、学校が保護者や地域と連携した取り組みを呼び掛けるなど、いろいろと試行していました。

『安全・安心まちづくり活動支援助成金』を活用 
 16年度に、県は地域での「犯罪の起こりにくいまちづくり」活動を推進するために、『安全・安心まちづくり活動支援助成金』を設けました。
 そこで、渡りに船のような形で、PTA総務委員会での協議を経て、県への申請を行ったところ、助成金の交付が決定されました。
 この『安全・安心まちづくり活動支援助成金』は、落合団地自治会、向ヶ丘自治会も安全パトロールを含む独自の計画で、申請が認められました。

主な活動内容は次の通りです。
・落合団地―自治会による防犯意識の高揚と地域巡回活動
・向ヶ丘―連合自治会が母体となった子どもたちの見守りと安全情報提供活動
・向能代小PTA―学区内巡回、安全情報提供と子どもの規範意識の啓発
 
具体的な活動を向能代小PTAを例にご紹介します

安全パトロールで安心して通学を
 申請が認可されたのが16年7月中旬すぎ、2学期に入って具体的な活動について、話し合うところから活動が開始されました。
 安全パトロールは、まずPTA総務委員、生活指導部員、交通安全指導部員と学年部以外の学校職員という狭い範囲から始めました。
 巡視時間は毎週火〜木曜日の午後3時〜5時として、1回の巡視時間は1時間としました。
 月曜と金曜の下校時間帯は、落合団地のパトロール隊が、学校近くの通学路(通称5分道路)を定期的に回るということで分担しました。

大切なパトロールの計画作り
 巡視場所は、小学校近辺で最も不審者出没の危険がある通称5分道路(緑ケ丘から落合団地への短絡路)と向ヶ丘方面の踏切付近としました。
 パトロールは、毎月の実施計画作りが必要です。まず、月末にパトロール隊の方へ、日・曜日・時間・巡視場所の入った表を配布し、巡視可能なところに○印を記入してもらいます。
 それをもとにパトロール計画表を作成し、隊員の方に配布します。
 計画作りで配慮したことは、できるだけ二人一組で巡視できるようにということです。しかし平日の活動なので参加される方が限られてしまい、一人で巡視ということも多くありました。

ジャンパーなどを準備
 用具は助成金で準備した、名前入りジャンパー、帽子、腕章です。
 パトロールは、当番が来校し、ジャンパー、帽子を着用して徒歩で行います。腕章はジャンパーを着用できないときに使用します。
 パトロール後帰校し、活動記録簿に注意点などを記入します。なお、パトロール隊は全員、ボランティア保険(一人300円)に加入してもらいました。

独自の安心安全マップを作成
 16年10月にPTA総務委員の協力で学区域の原図が完成し、それをパソコンで図形処理しました。
 11月に総務、生活指導部へ地図を配布し、不審者や交通事故に注意しなければならない箇所を、理由を付けて記入してもらいました。12月にはPTA総務委員会で、マップの構図やマークのデザインなどについて意見を出してもらいました。
 17年1月から2月にかけて、学校で児童の世帯数330部と地域用70部として合計400部をカラー印刷しました。3月に各学級と全世帯に配布しました。春休み前の町内子供会では、このマップを使ってラムちゃんマーク(子供女性避難所)の家を確認するなどしました。
 地域用のものはラミネートをして、学区内の公共施設(公民館、郵便局、駐在所など)や主な商店に置いてもらいました。

防犯教室を開催
 16年11月には、向能代駐在所員3名の方を講師として、向能代小を会場に防犯教室を開催しました。
 内容は「向能代地区における不審者などの現状と対策」で、後半は「振り込め詐欺対策」を紙芝居を使って説明していただきました。夜の会でしたが、10名程参加していた児童にも好評でした。この教室には保護者・児童のほか、落合団地自治会、向ヶ丘自治会の皆さんにも参加していただきました。

連絡協議会で話し合い
 17年6月、向能代小PTA、落合団地自治会、向ヶ丘自治会の3団体パトロール隊による連絡協議会を開催し、今年度の安全パトロールなどについて話し合いました。
 16年度は、3団体が独自の計画でパトロールしていたのを、より効果的に行うために、月曜から金曜まで分担することにしました。
 向能代小PTAが火・木曜、落合団地が月・金曜、向ヶ丘が水曜で、時間帯は児童の下校時刻に合わせた午後3時〜5時です。またこの会では、それぞれ抱える課題などについても話し合いました。
「高齢者が多いので、冬期間のパトロールが難しい」「パトロール隊の存在や活動を、全地域に周知してもらいたい」「子どもたちの下校経路が一定していない」「普段は防犯よりも交通安全の方が主になっている」など、たくさんの意見が出されました。今後も児童生徒の安全を守るために、力を合わせていくことを誓い合いました。

整備が進んでいます
 向能代地区では、通称5分道路(緑ケ丘から落合団地への短絡路)が整備されました。
 児童生徒には通学路として大変便利ですが、見通しが悪く不安を覚えることが多かったため、街灯の整備や道路の舗装がなされました。また、向能代地域通学路(通称5分道路)改善連絡会で協議の上、これからも改善に努めていく事になっています。この道路を利用している東雲中学校PTAとも力を合わせて、草刈りやクリーンアップも続けていくとのことです。
 PTAや地域、行政が児童生徒の安全確保のために力を合わせている先進的な事例としてご紹介いたしました。

能代市の取り組み
 市では、「地域が自然な形で子どもたちを見守り、積極的に保護する風潮を作り上げる取り組みの推進〜一人一人がそれぞれの立場でできることを〜」ということを対策の方針としています。
 学校や教育委員会の取り組みとしては、防犯ブザーの配布と使用指導、防犯意識向上のための啓発や防犯教室の開催、教職員の研修会、不審者情報の迅速な伝達、「子ども安全・安心ホームページ」の活用などを進めています。  
 また、郵便配達、タクシー、公用車に通報や一時保護を依頼したり、子ども110番の家の活用などが実施されています。
 しかし、これらの取り組みだけでは安全の確保はできないと考えており、地域の皆さんによるボランティアの協力をお願いしてきました。
 おかげさまで先ごろ募集した、学校支援ボランティアでも、たくさんの方から登下校の安全確保へのご協力を申し出いただいています。
 さらに、市民の皆さんが日常生活の中で、散歩や庭いじり、雪かきなどの際に目配りし、必要なときに通報することなどは、最も大切で効果的ですので、今後ともよろしくお願いします。
問合せ 教育研究所 電話89ー2947

No.1082 平成17年10月13日発行(2)

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