小さくても世界No.1のエクセレントカンパニー(超優良企業)を目指して

発行:No.1091 平成18年3月9日発行(4)

小さくても世界No.1のエクセレントカンパニー(超優良企業)を目指して
〜日本の光通信技術を主要素材生産で支えている会社です〜

 能代市工業団地で操業している、株式会社グラノプトは、三菱ガス化学株式会社と住友金属鉱山株式会社の共同出資により、平成17年4月1日に設立されました。光ファイバ通信に不可欠な光アイソレータの主要部材である希土類鉄(きどるいてつ)ガーネット単結晶(たんけっしょう)(RIG)の製造・販売を行い、光通信技術を支える素材メーカーです。今回の企業紹介では世界シェア第1位の企業として活躍している姿を、市民の皆さんにご紹介したいと思います。

株式会社グラノプト
本社・工場
住所…能代市扇田字扇渕4番地4(能代市工業団地内)
設立…2005年4月1日
本格稼働…2005年10月1日
事業内容…RIGの製造・販売
※「グラノプト」は、ガーネットの語源であるGranatum (“多くの種”を意味する)と光を意味するOptを組み合わせた造語です。

世界シェア第1位の企業です
 グラノプトでは、希土類鉄ガーネット単結晶(RIG…ファラデー回転子・磁性鉄ガーネットとも呼ばれます)を製造しています。
 これは、光ファイバ通信において、高速・大容量の情報を低損失で送るために欠かせない光アイソレータの主要な部品の一つです。
 RIGは、光アイソレータに組み立てられ、レーザーなどと組み合わせた機器になり、システム構築業者、通信事業者へと流通します。
 日本の光通信を支える技術企業として、また、地元雇用や地域経済を支える優良企業として、関係者から熱い目線が注がれています。
 日本では、光アイソレータを製造している企業がRIGも内製していることが多く、製品の4〜5割は中国などへ輸出されます。
 内製メーカーを含めても、世界の市場の約75パーセントを占め、RIGのみの製造としては市場の90パーセントほどを占める、世界第1位の企業です。
 裁断・研磨などの加工は半自動で行われ、細かい傷がないかどうかの検査が人的な仕事になります。機械でも大まかな傷の有無を検査しますが、細かい傷は、人の目で確認作業が必要になります。

光ファイバ豆知識!ちょっと詳しく
 光ファイバは、光を通す通信ケーブルのことで、大量の情報を高速で遠距離に送ることができます。具体的には、電気信号(映像や音声など)をいったん半導体レーザーによって光信号に変換し、光ファイバの中を通して情報を送ります。
 光信号を光ファイバに送る時、光を一方向だけ伝え、途中で反射して戻ってくる光を阻止する部品が光アイソレータと呼ばれます。その主要部材となる希土類鉄ガーネット単結晶を株式会社グラノプトが製造しています。
 希土類鉄ガーネットは宝石のガーネットと同じ種類ですが組成が異なっています。原料を高温で溶かし、その溶液を冷やす過程で結晶が成長し、商品となります。
 光アイソレータはNTTの局内や通信ケーブルの途中で使われ、一般には目につきませんが、インターネットなど、日常的な光通信技術を支えています。

株式会社グラノプト
代表取締役社長 井上修
 この地域には古くから住友系列の企業がありました。すでに工業団地内には住友金属鉱山の子会社で、光アイソレータを製造するエム・エム・プレシジョンが操業しています。そのような縁があって能代に新会社を設立することになりました。
 当社能代工場の従業員は42人ですが、11人が三菱ガス化学と住友金属鉱山からの出向社員で、31人が地元からの雇用です。今後は地元の社員を育てていくことが大切と思っています。
 専門的な知識を必要とする仕事で、今は技術開発の面は主に出向社員が行っています。技術開発要員の育成が、今後の課題です。理数系の専門技術が必要ですが、最終的には地元の人へ技術移転したいと考えています。ぜひ、技術開発の面も受け継いでほしいと願っています。そして本当の意味で、地元に根ざした企業になっていきたいと思います。

株式会社グラノプト
代表取締役副社長兼工場長 武田憲夫
 首都圏に住んでいましたが、現在は単身赴任で能代に来ています。能代はとても風光明美なところで、自然が素晴らしく人柄は実直だと思います。こんな所で子育てができれば良いと感じています。この冬の大雪には驚きました。(笑)
 当社生産の希土類鉄ガーネット単結晶は、汎用性がなく市場規模は大きくありませんが、ADSLやブロードバンド(高速大容量通信技術)の普及に伴って業績が伸びてきています。能代市には雇用面でもっと貢献できるよう努力していきたいと思います。
 「グラノプト」という名前は、あまりなじみのない響きだと思いますが、これから能代で頑張っていく企業として、市民の皆様に少しでも覚えてもらえればと感じています。

株式会社グラノプト
社員 三浦陽輝
 希土類鉄ガーネット単結晶の加工と、顕微鏡を使って、最終検査前の一次段階の検査を担当しています。
 通信技術の仕事ということで、将来性を感じて入社しました。最先端技術として、これからも伸びていくと感じています。
 今の仕事に就いてまだ半年で慣れていない面もありますが、勉強しながら実務を行っています。
 今まで経験のないような、自分がこれまで知らなかった分野で、覚える楽しみとやりがいを感じながら仕事をしています。
 若者が多い職場なので、いずれは若い人たちを引っ張っていけるようになりたいと思います。

No.1091 平成18年3月9日発行(4)

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