のしろ逍遙(しょうよう)

発行:No.1092 平成18年3月20日発行(18)

のしろ逍遙(しょうよう)
歴史と民俗のあいだ(89)

「歴史と民俗」最終版

 新市への移行に伴って、このシリーズもいったん閉じることになりました。長い間の御愛読を感謝致します。
 前々回の芭蕉碑の文中に、能代詩星会が旧派の会であるように書いてしまいましたが、正しくは島田五空が主宰する吟社で俳星の母体(ぼたい)となった団体でした。鈴木香雪や岸部千之らは旧派の俳人でしたが、芭蕉碑を建てるにあたって、新旧両派が協力してできたのが、八幡神社の芭蕉碑でした。文学上の流派を超えた力を引き出したのは、言うまでもなく「芭蕉」という俳壇の宗匠(そうしょう)の存在があったからだと言えます。
 民俗や歴史は、その中に息づく人々の心を探り出すことであり、それぞれの活躍の場で「人間愛」というものが、どのように表現されているかを見ていくことだと思います。このシリーズでも、忘れられているような物や出来事や風景を多く拾ってきたつもりです。そのなかに我々が忘れているものが潜んでいるように思ったからです。『能代市史 特別編 民俗』はそのような気持ちで編集されたものですが、なお取りこぼしたものがあるように思います。これからもその足りないところを補う努力をしていきたいと思います。皆さんもどうぞ広い目で、身の回りの民俗や歴史の数々を拾ってみてください。(古内龍夫)

No.1092 平成18年3月20日発行(18)

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