○能代市環境基本条例

平成18年3月21日

条例第117号

目次

前文

第1章 総則(第1条―第6条)

第2章 基本施策等

第1節 施策の基本方針(第7条)

第2節 環境基本計画等(第8条―第10条)

第3節 基本施策(第11条―第25条)

第4節 地球環境保全(第26条)

第3章 能代市環境審議会(第27条)

附則

わたしたちのふるさと能代は、母なる米代川の恵みを受けながら、日本海と風の松原、そして豊かな能代平野に抱かれ、また、世界自然遺産白神山地や奥羽山脈に連なる美しい山々をのぞみ、天然秋田杉が林立し、四季の移ろいが鮮やかなきみまち阪県立自然公園、渡り鳥の重要な飛来地である小友沼等を擁する優れた自然に恵まれている。これまで、先人のたゆまぬ努力によって、個性と伝統のある文化、風土が育まれ、さらには、次世代の活力と発展につながる基盤も着実に築かれてきた。

しかしながら、経済の成長は、わたしたちの生活を豊かにし利便性を高めたが、一方では環境への負荷を増大させ地域の環境のみならず、地球環境規模にまで影響を及ぼしている。

もとより、わたしたちは、健全で恵み豊かな環境の恩恵を享受し、健康で文化的な生活を営む権利とその環境を次世代に引き継ぐ責務を有するとともに、わたしたちが限りある環境の中で、自然と共生しながら生活をしていく上で、環境への負荷の少ない持続的な発展が可能な社会を構築していかなければならない。

ここに、わたしたちは、共に参加し、互いに協力し合い、ふるさとの健全で恵み豊かな環境を保全し、潤いとやすらぎのある快適な住み良い環境を創造していくことを決意し、この条例を制定する。

第1章 総則

(目的)

第1条 この条例は、環境の保全及び創造について、基本理念を定め、並びに市、市民及び事業者の責務を明らかにするとともに、環境の保全及び創造に関する施策(以下「環境施策」という。)の基本となる事項を定めることにより、環境施策を総合的かつ計画的に推進し、もって現在及び将来、市民が健康で文化的な生活を営むことのできる恵み豊かな環境を確保することを目的とする。

(定義)

第2条 この条例において、次の各号に掲げる用語の意義は、それぞれ当該各号に定めるところによる。

(1) 環境への負荷 人の活動により環境に加えられる影響であって、環境の保全上の支障の原因となるおそれのあるものをいう。

(2) 地球環境保全 人の活動による地球全体の温暖化又はオゾン層の破壊の進行、海洋の汚染、野生生物の種の減少その他の地球の全体又はその広範な部分の環境に影響を及ぼす事態に係る環境の保全であって、人類の福祉に貢献するとともに市民の健康で文化的な生活の確保に寄与するものをいう。

(3) 公害 環境の保全上の支障のうち、事業活動その他の人の活動に伴って生ずる相当範囲にわたる大気の汚染、水質の汚濁(水質以外の水の状態又は水底の底質が悪化することを含む。)、土壌の汚染、騒音、振動、地盤の沈下(鉱物の掘採のための土地の掘削によるものを除く。)及び悪臭によって、人の健康又は生活環境(人の生活に密接な関係のある財産並びに人の生活に密接な関係のある動植物及びその生育環境を含む。以下同じ。)に係る被害が生ずることをいう。

(基本理念)

第3条 環境の保全及び創造は、市民が、健康で文化的な生活を営むことのできる恵み豊かな環境を確保し、その環境を将来の市民に継承されるよう適切に行われなければならない。

2 環境の保全及び創造は、人間が生態系の一部として存在し、自然から多くの恵みを受けていることを認識し、人と自然とが健全に共生していくことを目的として行われなければならない。

3 環境の保全及び創造は、環境の復元力には限界があることを認識し、資源の適切な管理及び循環的な利用の推進等により環境への負荷の少ない持続的な発展が可能な社会を構築することを目的として、すべての者が公平な役割分担の下に主体的かつ積極的にこれに取り組むことによって行われなければならない。

4 地球環境保全は、地域の環境が地球環境と深くかかわっているとの認識の下にあらゆる事業活動及び日常生活において積極的に推進されなければならない。

(市の責務)

第4条 市は、前条に定める環境の保全及び創造についての基本理念(以下「基本理念」という。)にのっとり、環境の保全及び創造に関する基本的かつ総合的な施策を策定し、実施する責務を有する。

(市民の責務)

第5条 市民は、基本理念にのっとり、その日常生活において、資源及びエネルギーの消費、廃棄物の排出等による環境への負荷を低減するように努めなければならない。

2 前項に定めるもののほか、市民は、基本理念にのっとり、環境の保全及び創造に自ら努めるとともに、市が実施する環境施策に協力する責務を有する。

(事業者の責務)

第6条 事業者は、基本理念にのっとり、その事業活動を行うに当たっては、これに伴って生ずる公害を防止し、又は自然環境を適正に保全するために必要な措置を講ずる責務を有する。

2 事業者は、基本理念にのっとり、物の製造、加工又は販売その他の事業活動を行うに当たって、その事業活動に係る製品その他の物が使用され、又は廃棄されることによる環境への負荷の低減に資するように努めるとともに、その事業活動において、廃棄物の発生を抑制し、及び再生資源その他の環境への負荷の低減に資する原材料、役務等を利用するように努めなければならない。

3 前2項に定めるもののほか、事業者は、基本理念にのっとり、その事業活動に関し、これに伴う環境への負荷の低減その他環境の保全及び創造に自ら努めるとともに、市が実施する環境施策に協力する責務を有する。

第2章 基本施策等

第1節 施策の基本方針

第7条 市は、環境施策の策定及び実施に当たっては、基本理念にのっとり、次に掲げる事項を基本として、各種の施策相互の有機的な連携を図りつつ、これを総合的かつ計画的に行わなければならない。

(1) 大気、水、土壌等環境の自然的構成要素を良好な状態に保持することにより、人の健康を保護し、生活環境を保全し、及び自然環境を適正に保全すること。

(2) 生態系の多様性の確保、野生生物の種の保存その他の生物の多様性の確保を図るとともに、森林、農地、水辺地等における多様な自然環境を保全すること。

(3) 優れた自然環境と伝統に育まれた歴史的な環境その他潤いとやすらぎをもたらす社会的環境を保全し、創造するとともに、人と自然との豊かな触れ合いを確保すること。

(4) 廃棄物の減量、資源の循環的な利用及びエネルギーの適切かつ有効な利用を推進し、環境への負荷の少ない持続的な発展が可能な循環型社会を構築するとともに、地球環境保全に貢献すること。

(5) 市、市民及び事業者が協働して取り組むことのできる社会を形成すること。

第2節 環境基本計画等

(環境基本計画)

第8条 市長は、環境施策を総合的かつ計画的に推進するため、環境の保全及び創造に関する基本的な計画として能代市環境基本計画(以下「環境基本計画」という。)を定めなければならない。

2 環境基本計画は、次に掲げる事項について定めるものとする。

(1) 環境の保全及び創造に関する総合的かつ長期的目標及び施策の方向

(2) 前号に掲げるもののほか、環境施策を総合的かつ計画的に推進するために必要な事項

3 市長は、環境基本計画を定めるに当たっては、市民及び事業者の意見を反映することができるように必要な措置を講ずるとともに、能代市環境審議会の意見を聴かなければならない。

4 市長は、環境基本計画を定めたときは、遅滞なく、これを公表しなければならない。

5 前2項の規定は、環境基本計画の変更について準用する。

(施策の策定等に当たっての配慮)

第9条 市は、施策の策定及び実施に当たっては、環境基本計画との整合性の確保を図ることにより環境の保全及び創造について配慮しなければならない。

(環境調査の結果等の公表)

第10条 市長は、市の環境の調査結果及び市が講じた環境施策の概況等を公表しなければならない。

第3節 基本施策

(規制的措置)

第11条 市は、公害を防止するため、公害の原因となる行為に関し法令等の定めの範囲内で必要な規制の措置を講じなければならない。

2 市は、自然環境の保全を図るため、自然環境の適正な保全に支障を及ぼすおそれがある行為に関し法令等の定めの範囲内で必要な規制の措置を講ずるように努めるものとする。

3 前2項に定めるもののほか、市は、環境の保全上の支障を防止するため、法令等の定めの範囲内で必要な規制の措置を講ずるように努めるものとする。

(誘導的措置)

第12条 市は、市民及び事業者が自らの活動に係る環境への負荷の低減のための施設の整備その他の適切な措置を採るように誘導することにより環境の保全上の支障を防止するため、必要な措置を講ずるように努めるものとする。

(環境の保全に関する施設の整備その他の事業の推進)

第13条 市は、下水道、一般廃棄物の公共的な処理施設、環境への負荷の低減に資する交通施設(移動施設を含む。)その他の環境の保全に資する公共的施設の整備を推進するため、必要な措置を講ずるように努めるものとする。

2 市は、公園、緑地等の公共的施設の整備その他の自然環境の適正な整備及び健全な利用のための事業並びに森林の整備その他の環境の保全に資する事業を推進するため、必要な措置を講ずるように努めるものとする。

(良好な環境の保全及び創造)

第14条 市は、地域の特性を生かした良好な景観、水及び緑に親しむことのできる生活空間、歴史的な環境その他の市民生活に潤いとやすらぎをもたらす良好な環境の保全及び創造を図るため、必要な措置を講ずるように努めるものとする。

(廃棄物の減量、資源の循環的な利用等の促進)

第15条 市は、環境への負荷の低減を図るため、市民及び事業者による廃棄物の減量、資源の循環的な利用及びエネルギーの適切かつ有効な利用が促進されるように、必要な措置を講ずるように努めるものとする。

2 市は、環境への負荷の低減を図るため、市の施設の建設及び維持管理その他の事業の実施に当たっては、廃棄物の減量、資源の循環的な利用及びエネルギーの適切かつ有効な利用を推進しなければならない。

(環境への負荷の低減に資する製品等の利用の促進)

第16条 市は、再生資源その他の環境への負荷の低減に資する製品、原材料、役務等の利用の促進を図るため、必要な措置を講ずるように努めるものとする。

(環境影響評価の推進)

第17条 市は、事業者が環境に影響を及ぼすおそれのある土地の形状の変更、工作物の新設その他これらに類する事業を行おうとするときは、当該事業の実施に当たりあらかじめ当該事業に係る環境への影響について自ら適正に調査、予測又は評価を行い、その結果に基づいて当該事業に係る環境の保全及び創造について適正に配慮することを推進するため、必要な措置を講ずるように努めるものとする。

(環境管理体制の整備の促進)

第18条 市は、事業者がその事業活動に伴う環境への負荷の低減を図るために自主的に行う環境の保全に関する方針の策定及び目標の設定並びにその方針並びに目標を達成するための計画の作成、実施並びに実施状況の点検等からなる環境管理の体制について整備することを促進するため、必要な措置を講ずるように努めるものとする。

(環境教育及び環境学習の振興等)

第19条 市は、市民及び事業者が環境の保全及び創造についての関心及び理解を深めることにより、これらの者が自発的に行う環境の保全及び創造に関する活動を促進するため、環境の保全及び創造に関する教育、学習の振興及び広報活動の充実に関し必要な措置を講ずるものとする。

(自発的な活動の促進)

第20条 市は、市民、事業者又はこれらの者の組織する民間の団体(以下「民間団体」という。)が自発的に行う緑化括動、環境美化活動、再生資源に係る回収活動その他の環境の保全及び創造に関する活動の促進に関し必要な措置を講ずるように努めるものとする。

(参加及び協力の促進)

第21条 市は、環境施策の効率的かつ効果的な推進を図るため、市民、事業者及び民間団体の環境施策への参加及び協力の促進に関し必要な措置を講ずるように努めるものとする。

(情報の提供)

第22条 市は、環境の状況その他の環境の保全及び創造に関する必要な情報を適切に提供するように努めるものとする。

(調査研究の実施及び監視等の体制の整備)

第23条 市は、環境施策の策定に必要な調査研究を実施するものとする。

2 市は、環境の状況を的確に把握し、及び環境施策を適正に実施するために必要な監視等の体制の整備に努めるものとする。

(推進体制の整備)

第24条 市は、環境施策を総合的かつ計画的に推進する体制を整備するため、必要な措置を講ずるものとする。

(国及び他の地方公共団体等との協力)

第25条 市は、広域的な取組を必要とする環境施策について、国及び他の地方公共団体等と協力して推進するように努めるものとする。

第4節 地球環境保全

第26条 市は、地球環境保全に資する環境施策を推進するものとする。

2 市は、国、他の地方公共団体、民間団体等と連携し、地球環境保全に関する国際協力の推進に努めるものとする。

第3章 能代市環境審議会

(設置)

第27条 環境基本法(平成5年法律第91号)第44条の規定に基づく審議会その他の合議制の機関として、能代市環境審議会を置く。

2 能代市環境審議会の組織及び運営に関し必要な事項は、規則で定める。

(施行期日)

1 この条例は、平成18年3月21日から施行する。

(経過措置)

2 この条例の施行の日の前日までに、合併前の能代市環境基本条例(平成12年能代市条例第15号)の規定によりなされた処分、手続その他の行為は、この条例の相当規定によりなされたものとみなす。

能代市環境基本条例

平成18年3月21日 条例第117号

(平成18年3月21日施行)

体系情報
第8類 生/第3章
沿革情報
平成18年3月21日 条例第117号