津波避難シミュレーションについて

能代市津波避難計画の策定にあたり、「秋田県津波浸水想定」による津波(海域ABC連動地震及び海域AB連動地震の重ね合わせ)を対象として津波避難シミュレーションを行い、避難者及び被災者数の算出と津波避難対策の検討を行いました。

1 設定条件

・浸水開始時間
 浸水深1cmのものを使用し、避難者がこれに巻き込まれた時点で被災としました。
・避難者の移動速度
 避難者を健常者と避難行動要支援者に分け、健常者は毎秒1メートル、避難行動要支援者は毎秒0.5メートルの速さで避難するものとしました。
・避難開始時間
 地震発生の10分後に避難を開始するものとしました。
・津波避難先
 避難者は浸水範囲外または津波避難施設に避難します。なお、津波避難施設は能代厚生医療センター、ねむの木苑、能代ふれあいプラザサンピノ、能代市役所の4か所を設定しました。
・避難行動要支援者
 避難行動要支援者は、乳幼児とその保護者、高齢者(65歳以上)、障がい者、外国人としました。


2 津波避難シミュレーション結果
ア 
現状

 

避難状況

健常者

要支援者

合計

避難者全体

5,676

100

4,711

100

10,387

100

避難完了(域外)

4,892

86

3,714

79

8,606

83

避難完了(施設等)

370

7

168

4

538

5

被災者数

414

7

829

18

1,243

12

 現状では、避難対象地域内の要避難者数10,387人のうち、約12%の1,243人が被災する結果となりました。沿岸部に居住する避難行動要支援者が多く被災する結果になっています。

 避難の状況をアニメーションで再現しました。アニメーションは西部地区(中心市街地)、東部地区(中川原周辺)、北部地区(落合地区周辺)の3つに分かれています。関連ファイルのうち、【現状】のアニメーションをご確認ください。

津波避難のアニメーション説明図
イ 対策後
 津波避難対策として、防災訓練、防災教育等の効果及び避難路や避難看板の整備により、避難開始時間が早く(地震発生の5分後)、移動速度が速く(対策前の1.5倍に)なった、という仮定のもと、津波避難シミュレーションを行いました。

 

避難状況

健常者

要支援者

合計

避難者全体

5,676

100

4,711

100

10,387

100

避難完了(域外)

5,658

100

4,379

93

10,037

97

避難完了(施設等)

18

0

313

7

331

3

被災者数

0

0

19

0

19

0

 対策後では、要避難者数のうち、約0.2%となる19人が被災する結果となり、対策前の約60分の1となりました。健常者は全員が避難を完了できますが、落合地区で避難行動要支援者の一部が被災する結果となっています。

 対策後の避難の状況をアニメーションで再現しました。関連ファイルのうち、「対策後」のアニメーションをご確認ください。


ウ (参考)観光客について
 参考として観光客の避難について、避難対象地域にもっとも多くの人が集まるイベントとして港まつり能代の花火を想定しシミュレーションを行いました。

 

避難状況

下浜ふ頭

河畔公園

落合地区
堤防上

合計

避難者数

19,000

100

2,000

100

6,000

100

27,000

100

現状の被災者数

1,670

9

2,000

100

6,000

100

9,670

36

対策後の被災者数

0

0

0

0

5,145

86

5,145

19

 対策前は観光客の約36%が被災しますが、対策後には約19%に減少します。



3 まとめ
 シミュレーション結果及び津波避難のアニメーションにより、素早い避難開始と迅速な避難行動により、津波から逃れることができることが示されました。
 地震の強い揺れや長い揺れを感じたら、津波警報等の有無に関わらず、自らの判断で、迷うことなく一刻も早く、出来るだけ高い場所に避難してください。また、周りの人たちにも避難を呼びかけ、率先した避難を心がけてください。
 津波からの避難では、海抜が高いところほど安全です。ハザードマップ等を確認して、海抜10メートル以上の場所や津波の浸水範囲の外まで避難することを目標とし、時間がない場合は津波避難ビルや鉄筋コンクリートの建物の3階以上に逃げることを目安としてください。