ふるさと紹介(251)

発行:No.1073 平成17年5月26日発行(4)

ふるさと紹介(251)

港まち能代の玄関口として!
〜能代港の今とこれから〜
市民リポーター 佐藤幹子・近藤智子

 秋田県で最も古い歴史を持ち、かつて秋田藩のもとで、木材の集積地や海防の要地として栄えた能代港。現在は重要港湾に指定され、国際港として世界と能代をつなぐ能代港について、県能代港湾事務所と市商工港湾課でお話を伺いました。

○外国船と能代港
 16年度、能代港の外国船入港数は129隻で、取扱い貨物のほとんどが輸入です。その約95%は能代火力発電所で使用する石炭で、オーストラリア・インドネシア・中国・ロシアなどから輸入されます。能代火力発電所で使われる石炭は、大型の石炭船で輸入されます。石炭船は火力発電所の岸壁に着岸し、石炭はベルトコンベアーで直接貯炭施設に運ばれます。
 そのほかに輸入されているものとしては、原木、木材製品、原塩があります。原木はカナダやロシアから、木材製品はマレーシアやインドネシアから輸入されます。原塩の主な輸入先はオーストラリアで、食用ではなく、冬期間の道路の融雪に使われています。
 東北地方の高速道路に使用する融雪剤のほとんどが能代港に陸揚げされるそうです。輸出は、中国や韓国への金属スクラップだけだということです。
 県の能代港湾事務所では、港の維持管理、入港や施設使用の許可などの仕事をしているということですが、最近では保安対策が特に重要になってきているそうです。アメリカで起こった同時多発テロの後、ソーラス条約(海上人命安全条約)が改正され、国際航海に従事する船舶が使用する港では保安対策を強化することが義務づけられました。能代港でも、一般の人の立ち入りを規制したり、新たに警備が配置されたり、国際海運の安全のため、さまざまな対策がとられています。

○観光と能代港
 5月5日、能代港4万トン岸壁に客船「ぱしふぃっくびいなす」が寄港しました。普段は立ち入り規制が行われている岸壁ですが、この日は一般開放され、歓迎セレモニーや物産販売が行われました。16年度は3回、客船の入港があったそうで、今年は6月7日にも客船が寄港するそうです。このような観光客船は白神山地が世界遺産に登録されてから、やや増加傾向にあるそうです。今回寄港した「ぱしふぃっくびいなす」でも、いくつかのバス旅行の中で、白神山地・十二湖方面コースの人気が高かったということです。能代市内を巡るコースもあり、ちょうど見ごろだった多宝院のしだれ桜や北限の茶畑などを見て回ったそうです。地元の言葉でのガイドは、「地域の空気が味わえる」と好評だということです。
 船で旅行をする人には、旅慣れている人が多く、評価は厳しいといいます。船の旅は、大きな目的地のほかに、いくつもの港に寄港します。たくさんある港の中で能代港に寄ってもらうためには、目の肥えた人たちに満足してもらえるものを提供していかなければなりません。滞在時間によって変わる行動範囲に合わせて、能代だけでなく周辺地域でも魅力ある内容を提供し、より多くの人が訪れるようになってほしいです。

○能代港のこれから
 船便はコンテナが主流であり、コンテナ貨物を扱うためには設備や定期航路の整備をすすめなければならないということです。定期航路の設定のためには、一定の荷物量が必要になってきます。また、船便は、片道なのか往復なのか、積載量が50%なのか100%なのか、条件によってコストが大きく異なり、必ずしも近くの港が使われているわけではないそうです。
 能代港の利活用のために、市が掲げたのが「リサイクル港」です。国での指定は1次・2次ともに終了し、現在18港が指定を受けているということです。指定にはいくつもの条件があり、能代港は国の指定は受けていませんが、同様の機能を持つ港を目指すことはできます。ほかの港ではやっていないものや受け入れにくいものなど、今までにない方法での利活用を進めていこうと考えているそうです。リサイクル産業は循環型社会とのかかわりも大きく、新たな産業の創出や発展の中で、物流の拠点としての港の活性化が期待されます。

○取材を終えて
 普段あまり行くことのない能代港に今回行ってみて、改めて規模の大きさに驚きました。
 現在、能代港は能代火力発電所のエネルギー港湾としての役割がほとんどだということです。港は社会資本の一つであり、地域の産業が発展する中で活用され、発展していくものです。利活用の一つとしてのリサイクル産業には、市民の理解も必要だといいます。地元産業の努力、市民の協力、市のサポート、みんなの力で能代港の利活用を進め、能代だけでなく周辺地域全体の発展につながってほしいです。

No.1073 平成17年5月26日発行(4)

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