東アジア・オーストラリア地域フライウェイ・パートナーシップ参加について

 小友沼は、「アジア太平洋地域渡り性水鳥保全戦略(1996年-2006年)」に基づき構築された「渡り性水鳥重要生息地ネットワーク」に、その設立当初から参加しています(平成11年に「東アジア地域ガンカモ類重要生息地ネットワーク」に参加)。

 平成18年11月に「アジア太平洋地域渡り性水鳥保全戦略」が解消され、新たに「東アジア・オーストラリア地域フライウェイ・パートナーシップ」(略称:EAAFパートナーシップ)という枠組が立ち上がり、「渡り性水鳥重要生息地ネットワーク」がこの枠組の下に運営されることとなったことに伴い、平成21年3月2日に改めて「東アジア・オーストラリア地域フライウェイ・パートナーシップ」からネットワーク参加地への参加証書が授与されました。


東アジア・オーストラリア地域フライウェイ・パートナーシップからネットワーク参加地への参加証書

環境省東北環境事務所 吉井所長より齊藤能代市長へ参加証書が授与されました
環境省東北環境事務所 吉井所長より齊藤能代市長へ参加証書が授与されました

環境省東北環境事務所 吉井所長、日本雁を保護する会 呉地会長と地元関係団体のみなさん
環境省東北環境事務所 吉井所長、日本雁を保護する会 呉地会長と地元関係団体のみなさん

 

 小友沼は秋田県北西部、米代川の河口に広がる能代平野に位置する農業用ため池です。江戸時代初期にこの付近一帯の開墾に合わせて造成され、以来350年以上にわたり地域の水田を潤し、農家の手で大切に守られてきました。人間の手で作られたため池は長い年月の間に自然にとけ込み、絶滅危惧種を含むたくさんの動植物を育む豊かな生態系を形成しています。近年はマガンやヒシクイをはじめとするガンカモ類が多数飛来し、渡りの中継として国際的にも重要な役割を果たすようになっています。特に春の北帰行シーズンには日本に渡ってくるガンの約9割が小友沼に飛来すると言われ、ピーク時には10万羽以上がねぐらをとっています。(能代市では渡り鳥の観察のため秋から春にかけて沼のほとりに観察小屋を設置しています。)

 小友沼の保全には地元農家や土地改良区が大きな役割を果たしてきました。また環境保全団体が渡り鳥の継続調査や沼周辺のクリーンアップなど様々な活動を行っています。

 行政としても平成11年の「東アジア地域ガンカモ類重要生息地ネットワーク」参加を契機として環境学習や環境保全の取り組みを進め、農業者・環境保全団体とともに先進地視察を行ったほか、平成18年度~平成20年度には「小友沼フォーラム」を開催し農業と環境保全について市民みんなで考えてきました。

 小友沼は、先祖から現代の我々に託され、未来の世代へ引き継いでいかなければならない、大切な「リレーのバトン」であると言えます。またガンカモ類は、繁殖地や越冬地から中継地である小友沼へ渡された「リレーのバトン」でもあります。私たちはこのバトンを次のランナーである子どもたちや他の飛来地へ確実に渡していくために、EAAFパートナーシップの一員として「保全・再生」「賢明な利用」「交流・学習」の取り組みを進めていきたいと考えています。