森林経営管理事業「能代システム」

1.森林経営管理事業とは?


 森林経営管理事業は、平成31年4月に施行された森林経営管理法に基づく事業です。この事業では、適切に経営や管理が行われていない森林を林業事業者に集積・集約化するとともに、それができない森林の経営管理を市町村が行うことで、林業経営の効率化と森林管理の適正化を促進します。
 この事業を進める上で課題となるのが、森林所有者や境界が不明な森林への対策です。能代市では、森林所有者の高齢化や地域の過疎化を背景に所有者等が不明な森林が多く、この解消が喫緊の課題となっています。そこで、所有者や境界不明な森林の解消と森林の適正な経営管理を推進するため、令和3年度から能代市独自の森林経営管理事業「能代システム」に取り組んでいます。


 

2.「能代システム」とは?


 「能代システム」は、航空レーザ計測によるICT(情報通信技術)を活用し、森林の所有者、境界、管理状況、収益性を調査するとともに、間伐等の整備が必要な森林については事業者を紹介するなど、所有者の経営管理をサポートするものです。収益性が低く管理が困難な森林については、所有者へ今後の管理の意向を調査し、要望に応じて市が、針広混交林等の管理が容易な森林に整備します。




 

3.「能代システム」の特徴は?


1 森林の地形や林相等が明瞭となる航空レーザ計測を活用し、所有者や境界を明確にします。
2 森林所有者へ、所有する森林の収益を含めた今後の施業提案書を提供します。
3 森林所有者へ、森林施業を実施する林業事業者を紹介します。
4 林業経営に適さない森林を、必要に応じて針広混交林等の管理が容易な森林へ整備します。


 

4.どこからやるの?


 令和元年度に実施した森林調査を参考に市内の森林を14地区に分け、地区内の調査対象資源量(杉人工林)と所有者等各種調査の効率性を考慮し、事業候補地の優先付けをしています。常盤・久喜沢地区から開始し、1地区3年程度を目安に進める計画です。


詳細は、関連ファイルをご覧ください。(森林の地区割)

 

5.境界調査の進め方は?


1 航空レーザ計測で得られた林相や地形情報、法務局の公図や地積測量図、県が所有する森林計画図や森林簿等の各種資料から森林一筆毎の所有者(管理者)を特定した森林所有者配置図を作成します。
2 配置図を参考に森林内を踏査し、林内の境界杭や現況、地域の森林に詳しい方々の情報などから境界を推定した境界推定図を作成します。
3 推定図について説明会を開催し、森林所有者の皆さまからご了解をいただいています。なお、市作成の図面はあくまで図上推定図のため、正確な境界については、間伐などの森林施業を実施する際に、改めて隣接者との立ち会いをおすすめしています。


境界推定図は、関連ファイルをご覧ください。(境界推定図 地番抜き)

 

6.施業提案書とは?


 施業提案書は、所有林を今後どのように整備したら良いのか、また間伐適齢期の森林であれば間伐した際の収益を記載したものです。森林所有者へは、提案書と併せ施業を請け負う事業者も紹介します。


施業提案書は、関連ファイルをご覧ください。(施業提案書)
事業者の詳細は、関連ファイルをご覧ください。(能代市内の事業者リスト)


 

7.これまでの実績は?


 令和3年度から令和4年度までの事業実績は以下のとおりです。所有者や境界不明な森林の解消が進んだことで、森林整備(間伐)や森林作業道の開設なども実施されています。

〇航空レーザ計測 2,017ヘクタール
〇森林所有者配置図作成 941ヘクタール
〇森林管理状況・境界調査 54ヘクタール
〇施業提案書の提供 20件
〇森林整備(間伐) 14ヘクタール
〇森林作業道の開設および改良 8,128メートル

  


 

8.Q&A


Q 市内の全ての森林が、この事業の対象になるのですか?
A 事業対象となるのは、森林法に指定されている森林で主に杉の人工林を対象とします。ちなみに、市内にある森林法に指定されている森林は、約16,000ヘクタールあり、そのうち杉人工林は、約10,000ヘクタールとされています。

Q 市内の全ての対象森林で事業を完了するのに何年かかるのですか?
A 現時点で30から40年を想定しています。今後の事業実績を踏まえ効率化を図り、できるだけ期間短縮に取り組みます。

Q 事業を実施するにあたり、所有者の負担はありますか?
A 境界調査等の市が実施する事業は、国が創設した森林環境譲与税を財源に実施するため、所有者の負担はありません。

Q 市が針広混交林等に整備した際に、立木の売却収入が発生した場合どうなるのですか?
A 市が整備するのは、収益が赤字になるような林業経営に適さない森林ですので、立木の売却は想定していません。

Q 所有林に関心がないため、売却や寄付をしたいのですが?
A 売却や寄付をするにも所有林の所在や境界が分からなければ受け手が見つかりません。まずは、この森林経営管理事業等を活用して所在と境界を明確にすることをお勧めします。また、既に境界等が明確の場合は、受け手になりそうな事業者を紹介させていただきます。


  

  

写真提供 株式会社パスコ 白神森林組合